精神科病院に夜間救急で運ばれてくる患者さんの色々

看護師ブログ

4.水中毒の患者さん

こんにちは!みかんです。今回は精神疾患を患っている方に多く見られる「水中毒」の患者さんについてお話しようと思います。

夕方6時くらいでした。私はその日は遅番でまだ病棟に残っていました。救急隊から電話があり、「水を大量摂取した意識不明の患者さんを受けてほしい」とのことでした。

この患者さんはもともと統合失調症を患っており、グループホームという施設で同じ精神疾患の方たちと共同生活をしていました。そこには数名のスタッフがいて、(精神保健福祉士や看護師、介護福祉士など)そんな方々が日常のお世話や見守りをしているそうなのですが、この患者さん(Nさんとします)は、その職員さんたちの目を盗んでは水を飲んでいたようです。

Nさんが運ばれてきた時、私はビックリしたのを今でも覚えています。なんと、Nさんのお腹が「えっ!!臨月!?」と思うくらいに大きく張っていたんです。本当に最初、臨月の妊婦さんだと思いました。お腹のそれは全部水でした。それだけ大量の水を一気に飲んでいたんです。何かに依存している人は、本当に歯止めが効かないので怖いです。そして、中毒症状を起こしてしまうのですから・・・。

Drの指示ですぐにバルーンカテーテル(尿道留置カテーテル)を挿入しました。尿閉もあり、自力で排尿できていなくて、相当の尿が膀胱に溜まっているようでした。そうすると、尿が一気に1000mlも出ました。膀胱の容量は、成人で平均500mlだと言われています。もちろん、摂取した水分の量にもよりますが、1000mlだと平均の倍ですからすごいことです。入院してくる前にも大量の水を嘔吐しているとの情報でしたが、それでもまだそれだけ大量の水が体内に残っていたんです。本当に、驚きです。

水中毒:水分を一気に多量に摂取することによって、血液中のナトリウムの濃度が低下し、電解質のバランスが崩れて中毒症状が起きる(希釈性低ナトリウム血症)。軽症だと、めまい・頭痛・頻尿・疲労感・浮腫・下痢などの症状が現れ、重症になると、錯乱・嘔吐・意識障害・呼吸困難・脳浮腫によるけいれん・肺水腫・うっ血性心不全などが起こる。重症の場合は、命の危険性に晒されることもあります。

一般的になんですが、コップ一杯(約200ml)の水を、間隔を空けて一日に7回くらい飲むのが体に負担がない量だとされています。水中毒の患者さんはそれを平気で越えてきます。ただ水だけをひたすら飲むんですから、中毒症状が起きても不思議ではありません。

翌日になってNさんの意識は戻りましたが、また勝手に水を飲みに行かないようにするために、隔離室に入りました。水中毒の治療は、水分制限とナトリウムの補充をするための点滴を行うことなので、隔離しないと勝手に水を飲みに行ったりしてしまうため、治療がすすみません。スタッフもずっとその患者さんだけに付いているわけにいかないので、そのような処置をとります。

しばらく点滴治療を続け、Nさんは回復しました。身体的には回復しましたが、もともと統合失調症の患者さんなので根本の治療はまだ終わりません。またいつ同じようなことが起こってしまうかもしれませんし・・・。

Nさん精神科の閉鎖病棟へ転棟することになりました。前にもお話したと思いますが、私のいる病棟は精神科開放病棟の身体合併型病棟なので、水中毒などの依存症のある精神疾患の患者さんは不向きなのです。身体的に回復されればその患者さんに見合った病棟に患者さんは移って、治療を続けながら療養生活を送ります。しかし、自宅に退院したり、グループホームに行けるまで精神症状が回復する患者さんが少ないのも現状です。

「またいつかグループホームに戻って、社会復帰に向けて頑張れる日が来ればいいんだけど・・・」と私は思いながら、Nさんを送り出しました。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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